2026年度診療報酬改定】看護・多職種協働加算とは?算定要件・施設基準・届出手続きを医療機関向けに徹底解説

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看護・多職種協働加算とは?
2026年度改定で新設|算定要件・施設基準・届出手続きを徹底解説

急性期一般入院料4・急性期病院B一般入院料を算定する病院必読|加算1(277点)・加算2(255点)の取得戦略を詳しく解説

2026年度診療報酬改定 看護・多職種協働加算 A215 急性期一般入院料4 急性期病院B 新設加算 2026年6月施行

2026年度診療報酬改定(2026年6月施行)において、急性期病棟で看護職員と多職種が協働して病棟業務を行う体制を新たに評価する「看護・多職種協働加算(A215)」が新設されました。

本加算は、急性期一般入院料4または急性期病院B一般入院料を届け出ている病院が算定できるもので、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・管理栄養士・臨床検査技師といった多職種を病棟に加配することで、従来よりも高い点数を得られる可能性があります。

本記事では、医療機関の管理者・事務長・医事担当者の方を対象に、算定要件・施設基準・届出手続き・経営戦略上の選択肢を網羅的に解説します。

① 看護・多職種協働加算の概要と新設の背景

急性期病棟では、看護師が担う業務範囲が広く、特に高齢入院患者のADL維持・廃用症候群予防・栄養管理などが課題となっています。これまで、こうした多職種による病棟関与は一部の加算(早期離床・リハビリテーション加算等)でしか評価されてきませんでした。

2026年度改定では、「看護職員を含む多職種が協働して専門性に基づく適切な役割分担のもと、適時適切に指導・診療補助を実施し、入院患者のADL機能低下を防ぎながら質の高い医療を提供する体制」を新たな診療報酬として評価することになりました。それが看護・多職種協働加算(A215)です。

📌 制度の位置付け
本加算は「急性期一般入院料4」または「急性期病院B一般入院料」に上乗せして算定する加算です。入院基本料の変更を伴わず、多職種配置と実績要件を満たすことで算定が可能です(ただし施設基準の届出が必要)。

② 加算区分と点数

看護・多職種協働加算は2区分設けられており、算定できる入院基本料の種別によって点数が異なります。

区分対象となる入院基本料加算点数(1日につき)加算後の点数感
看護・多職種協働加算1急性期一般入院料4277点急性期一般入院料2・3相当以上
看護・多職種協働加算2急性期病院B一般入院料255点急性期一般入院料1超え
💡 点数のポイント
急性期病院B一般入院料に看護・多職種協働加算2(255点)を加算すると、合計点数が急性期一般入院料1を上回る構造になっています。これは「多職種体制を整えれば、より高い点数を得られる」という政策的メッセージでもあります。

③ 算定対象となる病棟・施設基準の概要

以下の病棟が本加算の算定対象となります。

項目内容算定可否
急性期一般入院料4を届け出ている病棟多職種配置・実績要件を満たす場合加算1を算定可
急性期病院B一般入院料を届け出ている病棟多職種配置・実績要件を満たす場合加算2を算定可
急性期一般入院料1・2・3を届け出ている病棟対象外算定不可
地域包括ケア病棟・回復期リハ病棟対象外算定不可
有床診療所対象外算定不可

④ 多職種配置基準(25対1要件)

配置人数の考え方

当該病棟において、1日に病棟業務を行う看護職員を含む多職種の数が、常時、入院患者数25人またはその端数を増すごとに1人以上であることが必要です。

計算例:入院患者数が50人の病棟の場合 → 最低2人以上(看護職員+多職種の合計)の常時配置が必要。75人の場合は3人以上となります。

配置できる職種

職種備考
看護職員(看護師・准看護師)入院基本料の看護配置(10対1)とは別カウントで加算用に配置
理学療法士(PT)病棟常駐または病棟業務として従事している者
作業療法士(OT)同上
言語聴覚士(ST)同上
管理栄養士同上
臨床検査技師同上
⚠ 注意:看護補助者は算入不可
看護補助者(看護助手)は多職種配置の「25対1」には算入できません。あくまで看護職員または上記専門職種が対象です。既存の看護補助加算とは別の加算であることに留意してください。

⑤ 実績要件(重症度・看護必要度・在院日数等)

看護・多職種協働加算の算定には、入院基本料の施設基準に加え、以下の実績要件をすべて満たす必要があります。

要件基準値補足
重症度・医療看護必要度(割合1)28%以上(必要度Ⅰ)急性期一般入院料1相当の実績が必要
重症度・医療看護必要度(割合2)35%以上(必要度Ⅰ)同上
平均在院日数16日以内急性期機能の維持を求める
自宅等退院割合80%以上在宅・居住系施設等への退院を含む
💡 実務上のポイント
看護必要度の基準値は必要度Ⅱを用いる場合、割合1は27%、割合2は34%に設定されている場合があります。自院が使用している評価票の種別(ⅠまたはⅡ)に応じて確認してください。また、これらの実績値は定期的に地方厚生局への報告が求められます。

⑥ 算定可否判定フローチャート

スタート:自院の入院基本料を確認
❓ 急性期一般入院料4 または 急性期病院B一般入院料を届け出ているか?
いいえ ↓
❌ 算定不可
対象外の入院基本料です。入院基本料の変更を検討してください
はい ↓
次の要件へ
❓ 看護職員を含む多職種(PT/OT/ST/管理栄養士/臨床検査技師)を患者25対1以上で常時配置できるか?
いいえ ↓
❌ 現状では算定不可
人員確保・配置転換後に再検討
はい ↓
次の要件へ
❓ 重症度・医療看護必要度(割合1:28%以上、割合2:35%以上)・平均在院日数16日以内・自宅等退院率80%以上をすべて満たしているか?
いいえ ↓
❌ 実績要件不足
直近データを確認。実績を積んで再検討
はい ↓
✅ 看護・多職種協働加算の届出が可能!
地方厚生局へ施設基準の届出を行ってください

⑦ 届出手続きと必要書類

1

実績データの集計・確認

直近3か月分の重症度・医療看護必要度の割合、平均在院日数、自宅等退院割合を集計します。院内のレセプトコンピュータやHIS(病院情報システム)から抽出してください。

2

人員配置状況の確認と調整

現在のPT・OT・ST・管理栄養士・臨床検査技師の病棟業務時間を確認し、25対1以上の体制が整っているか確認します。必要に応じてシフト調整や兼任体制の見直しを行います。

3

届出書類の作成

施設基準の届出に必要な書類は以下のとおりです。

  • 別添7の様式9:入院基本料等に関する届出書
  • 様式10:看護職員等の配置に関する届出書
  • 様式13の2:医療従事者の負担軽減・処遇改善に資する体制に関する届出書

※直近1年以内に様式13の2の届出内容に変更がない場合は、当該書類の提出を省略できます。

4

地方厚生局への届出

管轄の地方厚生局(または地方厚生支局)に書類を提出します。届出は原則として算定を開始する月の前月末日(10日前後)までに行う必要があります。オンライン届出に対応している局もありますので、管轄局に事前確認してください。

5

算定開始・定期報告

届出受理後、翌月から算定を開始できます。算定開始後も、重症度・医療看護必要度の定期的なモニタリングと、要件を下回った場合の速やかな届出変更が必要です。

⑧ 病院経営上の選択肢と戦略的考察

急性期一般入院料4 → 看護・多職種協働加算1 の検討

現在、急性期一般入院料2・3を届け出ている病院の中には、「あえて急性期一般4に変更し、看護・多職種協働加算1を取得することで合計点数を引き上げる」という戦略が現実的な選択肢となる場合があります。特に、PT・OT・ST等をすでに多く抱えている病院では有利になる可能性があります。

💡 判断の目安
急性期一般入院料4(本体点数)+看護・多職種協働加算1(277点)の合計が、現在の急性期一般入院料2・3の点数を上回るかどうかを試算してみてください。DPC病院の場合は機能評価係数等への影響もあわせて確認が必要です。

急性期病院B → 看護・多職種協働加算2 の検討

急性期病院B一般入院料は看護師配置10対1で算定できる入院基本料ですが、急性期一般入院料1よりも本体点数は低く設定されています。しかし、看護・多職種協働加算2(255点)を上乗せすると、合計点数が急性期一般入院料1を上回るという逆転現象が生じます。

重症度要件を厳しく課されている急性期一般入院料1の病院が、要件を緩和しつつ収益を維持・向上させる選択肢として、急性期病院Bへの移行も検討に値します。

⚠ 移行前に必ずシミュレーションを
入院基本料の変更はDPC係数や機能評価係数への影響もあります。DPC対象病院の場合は、医事課・コンサルタント等と連携し、総合的な収支シミュレーションを実施した上で判断してください。

⑨ 算定上の注意事項

⚠ 注意①:他の加算との重複算定制限

看護・多職種協働加算と他の加算の重複算定については、通知・留意事項通知の内容を確認してください。特に「早期離床・リハビリテーション加算」「急性期リハビリテーション加算」など、多職種介入を評価する類似加算との関係性に注意が必要です。

⚠ 注意②:配置時間の記録管理

多職種が病棟業務として従事した時間・内容の記録が必要です。リハ記録・栄養管理記録などとは別に、病棟業務としての従事実績を文書で残しておくことが指導・監査対応上重要です。

⚠ 注意③:実績要件の継続モニタリング

重症度・医療看護必要度の割合は月次でモニタリングし、要件(割合1:28%、割合2:35%)を下回った場合は速やかに届出の変更(辞退)が必要です。未届けのまま算定を継続した場合、返還が求められることがあります。

⚠ 注意④:届出の有効期限と更新

施設基準の届出は原則として毎年度の定期報告が必要です。地方厚生局から求められた場合は速やかに報告書類を提出し、施設基準を継続的に満たしていることを証明してください。

⑩ よくある質問(FAQ)

Q現在急性期一般入院料1を算定しています。看護・多職種協働加算は取れますか?
Aいいえ、算定できません。本加算は急性期一般入院料4または急性期病院B一般入院料が対象です。急性期一般入院料1〜3を届け出ている病棟は対象外となります。入院基本料の変更を検討する場合は、総合的な収支シミュレーションが必要です。
Q25対1配置の「多職種」は、一人の職員が複数病棟を兼任している場合も算入できますか?
A原則として、当該病棟での業務実態(時間・内容)に基づいて算入します。複数病棟を兼任している場合は、各病棟での従事時間按分の考え方が必要です。詳細は地方厚生局への事前照会を推奨します。
Q管理栄養士も算入できますか?給食委託業者の管理栄養士は対象ですか?
A病院に雇用されている管理栄養士が病棟業務として従事している場合は算入可能です。給食委託業者の管理栄養士については、病院の指示のもと病棟業務を行っているかどうかの実態確認と、通知・留意事項の解釈に基づいて判断が必要です。
Q看護・多職種協働加算は全入院患者に対して算定できますか?
A本加算は病棟単位の施設基準に基づく加算(1日につき)のため、当該病棟に入院する患者全員に対して算定します。特定の患者を選んで算定する形式ではありません。
Q施行はいつからですか?経過措置はありますか?
A令和8年6月1日から施行されています。新設の加算であるため、経過措置については厚生労働省の通知・事務連絡を確認してください。届出は算定開始月の前月末日までに行う必要があります。
Q必要度ⅡはどのようなときにⅠと基準が異なりますか?
A必要度Ⅱを使用する場合、割合1は27%(Ⅰは28%)、割合2は34%(Ⅰは35%)とやや低い基準が設定されています。自院がEFファイルを活用した必要度Ⅱを採用している場合は、それぞれの数値で確認してください。

⑪ 実務担当者向けチェックリスト

届出・算定開始にあたり、以下の項目を確認してください。

自院の入院基本料が急性期一般入院料4または急性期病院B一般入院料であることを確認した
看護職員を含む多職種の25対1配置が常時確保できる体制を整備した
配置する多職種(PT・OT・ST・管理栄養士・臨床検査技師)の勤務実績を記録する仕組みを整えた
直近3か月の重症度・医療看護必要度(割合1:28%以上、割合2:35%以上)を確認した
直近の平均在院日数が16日以内であることを確認した
直近の自宅等退院割合が80%以上であることを確認した
届出書類(別添7様式9・様式10・様式13の2)を準備した
管轄の地方厚生局への届出期限(算定開始月の前月末日)を確認した
DPC対象病院の場合、入院基本料変更による係数等への影響をシミュレーションした
算定開始後の重症度・看護必要度の月次モニタリング体制を整えた
【免責事項・情報更新日】
本記事は2026年5月時点の情報をもとに作成しています。診療報酬の算定要件・施設基準は告示・通知・事務連絡等により詳細が随時更新される場合があります。必ず厚生労働省の公式通知および管轄の地方厚生局の情報を最新の状態でご確認ください。個別の算定可否や届出に関するご判断は、医事担当者・社会保険労務士・医療経営コンサルタント等の専門家にご相談ください。

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