【2026年診療報酬改定】入院共通事項の変更点を徹底解説|電子的診療情報連携体制整備加算の新設・ICT看護配置緩和・リハ栄養口腔の一体化

【2026年診療報酬改定】入院共通事項の変更点を徹底解説
電子的診療情報連携体制整備加算の新設・ICT看護配置緩和・リハ栄養口腔の一体化

医療DX推進体制整備加算が廃止され「電子的診療情報連携体制整備加算」へ統合。入院初日160点の新加算や看護配置ICT柔軟化など、全病院に関わる共通改定を網羅解説

令和8年度診療報酬改定
電子的診療情報連携体制整備加算
医療DX
看護配置ICT緩和
リハ栄養口腔連携
全病院対応

「医療DX推進体制整備加算が廃止されると聞いたが、何に変わるの?」「ICTを使えば看護師を減らしていいって本当?」「リハ・栄養・口腔管理の一体化で何が変わる?」令和8年(2026年)度診療報酬改定では、病棟種別を問わず全入院医療機関に関わる「共通事項」が複数見直されます。

最大の注目点は「電子的診療情報連携体制整備加算」の新設です。従来の医療情報取得加算・医療DX推進体制整備加算を統合・発展させたもので、入院初日に最大160点を算定できます。また、ICT機器の組織的活用による看護配置基準の柔軟化、リハビリ・栄養管理・口腔管理の一体的推進拡大など、病院業務に直結する変更が多数含まれています。

この記事では各共通事項の変更内容・対象・点数・対応手順を整理して解説します。

① 電子的診療情報連携体制整備加算(新設)

令和8年改定の入院共通事項における最大の変更が、「電子的診療情報連携体制整備加算」の新設です。廃止される「医療情報取得加算」と「医療DX推進体制整備加算」を統合・発展させた新加算で、電子処方箋・電子カルテ情報共有サービスの導入状況に応じて3段階の施設基準が設けられます。

外来における点数

区分 初診時 再診時(月1回) 主な要件
加算1(最上位) 15点 2点 電子処方箋+電子カルテ情報共有サービス両対応
加算2 9点 2点 どちらか一方に対応
加算3 4点 2点 オンライン資格確認等の基本要件のみ

入院における点数

区分 点数(入院初日) 主な要件
入院加算1 160点 電子処方箋+電子カルテ情報共有サービス両対応
入院加算2 80点 どちらか一方に対応
💡 入院加算1は1入院あたり160点(1,600円)の増収

入院初日に算定する加算のため、入院件数が多い病院ほど効果が大きくなります。月間入院件数200件の病院では、入院加算1を算定できると月間32万円(200件×1,600円)の増収となります。電子処方箋・電子カルテ情報共有サービスの導入を優先的に検討してください。

⚠ 旧加算は廃止。届出の切り替えが必要

「医療情報取得加算」と「医療DX推進体制整備加算」は令和8年6月1日をもって廃止されます。これらを算定していた医療機関は、新設の「電子的診療情報連携体制整備加算」への切り替え届出が必要です。施行前(5月18日まで推奨)に届出を済ませてください。

② 診療録管理体制加算の再編

診療録管理体制加算も令和8年改定で見直されます。

区分 現行点数 改定後点数
診療録管理体制加算1(最上位) 140点 廃止・統合
診療録管理体制加算(新・上位) 100点
診療録管理体制加算(新・下位) 30点
サイバーセキュリティ要件の移行
従来は診療録管理体制加算1の要件だったサイバーセキュリティ対策が、入院加算の施設基準に移行されます。電子カルテのセキュリティ体制(ISMS認証・バックアップ体制等)を整備している病院は入院加算1の算定に有利になります。

③ ICT活用による看護配置の柔軟化

入院基本料に定める看護師配置基準について、ICT機器を組織的に活用している場合は10%の範囲内で柔軟化が可能になります。これは深刻な看護師不足への対応策として導入されます。

柔軟化に必要なICT機器(3種類すべて必要)

ICT機器の種類 活用場面の例
モニタリングセンサー(見守りセンサー等) 患者の離床・転倒リスクの遠隔監視
音声入力デバイス(記録支援) ナースコールへの応答・看護記録の音声入力
同時通話インターホン(多対多通話) スタッフ間・患者間の複数同時コミュニケーション
💡 柔軟化の効果:7対1病棟なら7.7対1まで許容

看護師7対1(患者7人に対し看護師1人)の配置基準が10%緩和されると、実質的に約7.7対1まで許容されます。看護師不足に悩む病院にとって、ICT投資による業務効率化と人員コスト最適化の両立が可能になります。

⚠ 「組織的活用」が証明できる記録が必要

ICT機器を「組織的に活用している」ことを示すための運用記録・活用実績の整備が求められます。機器を導入しているだけでは要件を満たせません。運用マニュアルの整備・スタッフ教育・活用状況の記録保管を体制として整えてください。

④ リハ・栄養・口腔管理の一体的推進拡大

令和6年改定で急性期病棟向けに導入されたリハビリテーション・栄養管理・口腔管理の一体的取り組みが、令和8年改定ではさらに裾野が広がり多様な病棟で算定可能になります。

対象病棟の拡大

病棟種別 令和6年改定 令和8年改定
急性期一般入院基本料病棟 算定可 継続
地域包括医療病棟 算定可 継続
地域包括ケア病棟 対象外 新たに対象に追加

「入門編加算」の新設

一体的取り組みへの参入を促すため、施設基準の要件を緩和した「入門編加算」が新設されます。専従療法士2名以上・常勤管理栄養士配置などのフル要件を満たせない病院でも、段階的に参入できる仕組みが整備されます。

リハ・栄養・口腔の一体化がなぜ重要か
高齢入院患者の廃用症候群・低栄養・口腔機能低下は相互に関連しており、3者を連携して早期から介入することで在院日数の短縮・退院後の生活機能維持・再入院防止に効果があります。診療報酬上の評価強化は、こうした「生活機能を守る急性期医療」への転換を促しています。

⑤ 嚥下調整食への新たな評価

物価高騰対応と栄養管理の質向上を兼ねて、嚥下調整食(とろみ食・ミキサー食等)への新たな評価が設けられます。

変更点 内容
評価対象 おいしく安全な食形態で適切な栄養量を有する嚥下調整食を提供している場合
目的 嚥下障害患者への安全・適切な食事提供の質向上と、食形態対応にかかるコストの適切な評価
対象施設 嚥下障害患者が多い急性期・回復期・療養期病棟

⑥ 入退院支援の充実

入院中から退院後の生活を見据えた支援体制の強化が引き続き推進されます。

変更点 内容
入退院支援加算1(新設) 1,000点。地域包括医療病棟・回復期リハ病棟・地域包括ケア病棟が対象(退院時1回)
退院時共同指導料の見直し 退院後の在宅・介護施設との連携を強化する方向で算定要件が整備
入院時支援加算 入院前からの多職種による支援(服薬確認・褥瘡スクリーニング等)への評価を継続
💡 入退院支援は「退院先確保」から「生活継続支援」へ

令和8年改定では単に「退院させる」だけでなく、退院後も患者が地域で安全に生活できるよう多職種・多機関が連携する体制への評価が高まっています。地域連携室の機能強化・ケアマネジャーとの連携ルール整備が収益向上にも直結します。

⑦ 対応ロードマップ

1

電子処方箋・電子カルテ情報共有サービスの導入状況確認(〜2026年4月)

電子的診療情報連携体制整備加算の上位区分(入院加算1:160点、初診加算1:15点)を算定するために必要な電子処方箋と電子カルテ情報共有サービスの導入状況を確認する。未導入の場合はベンダーに導入スケジュールを確認する。

2

旧加算の廃止・新加算への切り替え届出(〜2026年5月18日)

医療情報取得加算・医療DX推進体制整備加算の廃止に伴い、電子的診療情報連携体制整備加算への切り替え届出を5月18日までに提出する。届出が遅れると6月1日から算定できない。

3

ICT看護配置柔軟化の体制整備(〜2026年5月)

看護師不足が課題の病棟では、3種類のICT機器(モニタリングセンサー・音声入力・同時通話インターホン)の導入を検討する。導入する場合は運用マニュアルの整備・スタッフ教育も合わせて実施する。

4

リハ・栄養・口腔の一体的取り組み届出確認(〜2026年5月)

地域包括ケア病棟を持つ病院は、新たに算定可能となるリハビリテーション・栄養・口腔連携加算の施設基準(専従療法士・管理栄養士等の配置)を確認し、要件を満たす場合は届出を準備する。

5

嚥下調整食の提供体制・記録整備(〜2026年6月)

嚥下障害患者に嚥下調整食を提供している病棟は、食形態・栄養量の記録体制を整備し、新たな評価の算定要件を確認する。

⑧ よくある質問

Q医療DX推進体制整備加算を算定している病院は、何も手続きしなくても自動的に電子的診療情報連携体制整備加算に移行しますか?
A自動移行にはなりません。新規届出が必要です。旧加算は6月1日をもって廃止されるため、5月18日(推奨)までに新加算の施設基準を確認したうえで届出を行ってください。未届出の場合は6月1日以降に算定できなくなります。

Q電子処方箋も電子カルテ情報共有サービスもまだ導入していません。加算は算定できませんか?
Aオンライン資格確認等の基本要件を満たしていれば加算3(初診4点・入院加算なし)から算定できます。段階的に電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスを導入することで、加算2(初診9点)、加算1(初診15点・入院160点)へのステップアップが可能です。

QICT機器を使った看護配置柔軟化は、すべての入院基本料病棟で適用されますか?
A病棟種別・施設基準の告示で対象が規定されます。3種類のICT機器の組織的活用が要件で、導入実績・活用記録の整備も必要です。すべての病棟で一律に適用されるわけではないため、自院が算定する入院基本料の告示・通知でご確認ください。

Qリハ・栄養・口腔の一体的取り組みは、入門編加算でも算定できますか?また点数はどのくらいですか?
A入門編加算はフル要件より低い施設基準で算定できますが、点数もフル加算より低く設定されます。具体的な点数は告示・通知で確認が必要です。まず入門編から始め、体制が整い次第フル加算へのステップアップを目指すことが推奨されます。

Q入退院支援加算1(1,000点)は無床診療所でも算定できますか?
A入退院支援加算1は地域包括医療病棟・回復期リハビリテーション病棟・地域包括ケア病棟を持つ病院・有床診療所が対象です。入院機能を持たない無床診療所は算定できません

⑨ まとめチェックリスト

電子的診療情報連携体制整備加算の施設基準(加算1〜3)を確認し、自院が算定できる区分を把握した
旧・医療情報取得加算/医療DX推進体制整備加算の廃止に伴う切り替え届出(5月18日まで推奨)を準備した
電子処方箋・電子カルテ情報共有サービスの未導入部分があれば、導入スケジュールをベンダーと確認した
看護配置ICT柔軟化に必要な3種類のICT機器(モニタリングセンサー・音声入力・同時通話インターホン)の導入を検討した
地域包括ケア病棟を持つ場合、リハ・栄養・口腔連携加算(新たに算定可)の施設基準を確認した
嚥下調整食の提供記録体制を整備し、新評価の算定要件を確認した
入退院支援加算1(1,000点)の施設基準確認と届出準備を行った

【免責事項】
本記事は2026年4月時点の厚生労働省資料および公表情報をもとに作成しています。診療報酬の算定ルールは告示・通知の内容が最終的な根拠となります。施設基準の届出・算定にあたっては必ず最新の厚生労働省通知・保険請求の手引きをご確認ください。本記事の情報を利用したことによるいかなる損害についても責任を負いかねます。

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