【2026年度診療報酬改定】一般病棟の重症度・医療・看護必要度はどう変わる?全入院料区分の基準値を徹底比較
急性期病院A/Bから急性期1〜5まで全区分の改定前後の基準値を一覧表で解説。A・C項目の追加、救急患者応需係数の新設、B項目測定緩和もわかりやすく整理します。
目次
1. 見直しの背景と3つの変更ポイント
2026年度(令和8年度)診療報酬改定において、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度(以下「看護必要度」)が大幅に見直されました。改定の主な目的は、外科系症例に比べ評価が低くなりがちだった内科系疾患・救急搬送患者の適正評価と、看護師の記録業務負担の軽減です。
- A項目・C項目への内科的処置の追加(一時的ペーシング・抗不整脈剤等)
- 救急搬送実績を補正値として活用する救急患者応需係数の新設(指数方式への移行)
- B項目を毎日測定しなくてよくなる測定頻度の緩和
2026年度の入院料名称変更について:2026年度改定では「急性期病院一般入院料(急性期病院A・B)」が新設されるとともに、旧来の「急性期一般入院料1〜6」が急性期1〜5に再編されました。本記事では新名称で統一して解説します。
2. 【全区分一覧】改定前後の基準値比較表
必要度II(DPCデータ等を活用した評価)
| 入院料区分 | 改定前 割合1 |
改定後 割合1 |
改定前 割合2 |
改定後 割合2 |
変化 |
|---|---|---|---|---|---|
| 急性期病院A(新設) | — | 27% | — | 34% | 新設 |
| 急性期病院B(新設) | — | 27% | — | 34% | 新設 |
| 急性期1(旧:急性期一般入院料1) | 20% | 27% | 27% | 34% | ↑+7pt / +7pt |
| 急性期2(旧:急性期一般入院料2) | 21% | 27% | — | — | ↑+6pt |
| 急性期3(旧:急性期一般入院料3) | 18% | 23% | — | — | ↑+5pt |
| 急性期4(旧:急性期一般入院料4) | 15% | 19% | — | — | ↑+4pt |
| 急性期5(旧:急性期一般入院料5) | 11% | 14% | — | — | ↑+3pt |
| 特定機能病院一般病棟 | 20% | 27% | 27% | 34% | ↑+7pt / +7pt |
| 専門病院入院基本料 | 20% | 21% | 27% | 28% | ↑+1pt / +1pt |
必要度I(評価票による直接評価)
必要度Iの基準値は、必要度IIより一律1ポイント高く設定されています。
| 入院料区分 | 改定前 割合1 |
改定後 割合1 |
改定前 割合2 |
改定後 割合2 |
|---|---|---|---|---|
| 急性期病院A・B(新設) | — | 28% | — | 35% |
| 急性期1 | 21% | 28% | 28% | 35% |
| 急性期2 | 22% | 28% | — | — |
| 急性期3 | 19% | 24% | — | — |
| 急性期4 | 16% | 20% | — | — |
| 急性期5 | 12% | 15% | — | — |
急性期2の必要度IIは21%→27%と6ポイント増、急性期1は割合1が20%→27%(+7pt)・割合2が27%→34%(+7pt)と大幅に引き上げられました。現在の該当患者割合が新基準を下回る場合は、早急に対策を検討してください。
割合1・割合2とは?
急性期病院A/B・急性期1・特定機能病院一般病棟には2つの基準(割合1・割合2)の両方を同時に満たす必要があります。
・割合1:「A項目3点以上 または C項目1点以上」に該当する患者の割合
・割合2:「A項目2点以上 または C項目1点以上」に該当する患者の割合
急性期2〜5および専門病院は割合1のみの単一基準です。
3. 変更点①:A項目・C項目の追加(内科系評価の拡充)
A項目に追加された評価内容
| 追加項目 | 内容 |
|---|---|
| 一時的ペーシング | 体外式ペースメーカーを使用・管理した場合 |
| 抗不整脈剤の使用(注射剤) | 注射による抗不整脈薬を投与した場合 |
| 蘇生術の施行 | 心肺蘇生等の蘇生処置を実施した場合 |
| 抗悪性腫瘍剤の対象薬剤追加 | ホリナートカルシウム・ラスブリカーゼ等を追加 |
C項目の対象拡大
「救命等に係る内科的治療」「別に定める検査」「別に定める手術」について対象となる治療・処置が拡大されました。肺炎・尿路感染症など内科系疾患を多く受け入れる病院で該当患者割合の改善が期待されます。
従来の看護必要度は外科的処置(手術)を評価するC項目の比重が高く、内科系患者が多い病院では該当患者割合を確保しにくい構造でした。今回の追加により内科系疾患を積極的に受け入れる病院でも基準を満たしやすくなります。
4. 変更点②:救急患者応需係数の新設(指数方式への移行)
急性期病院A/B・急性期1については、従来の「該当患者割合(%)」単独での判定から、救急患者応需係数を加算した「指数」での判定に変わります。
救急患者応需係数 = 1病床あたり救急搬送受入件数(年間) × 0.005
※上限:10ポイント
基準判定 = 実際の該当患者割合(%)+ 救急患者応需係数
救急受け入れが多い病院ほど係数が加算され、基準をクリアしやすくなります。
救急患者応需係数の対象は急性期病院A/B・急性期1〜5のすべてです。ただし、急性期病院A/B・急性期1は割合1・割合2の両方に係数が加算される「指数方式」が適用されるのに対し、急性期2〜5は単一の基準値に対して係数が加算されます。
5. 変更点③:B項目測定頻度の緩和
| 改定前 | 改定後 | |
|---|---|---|
| B項目の測定 | 測定日ごとに毎日評価が必要 | 直近の測定値を翌日以降も代替使用可(状態変化時は再評価) |
B項目の毎日記録は看護師の事務負担の一因でした。直近評価の代替使用により、患者ケアに充てる時間の確保につながることが期待されています。ただし患者の状態変化があった場合は改めて評価が必要です。
6. 経過措置(2026年9月30日まで)
2026年6月〜9月30日:旧評価票での評価が可能
令和8年3月31日時点で急性期入院料の届出を行っている病棟は、経過措置期間中に限り改定前の評価票を継続使用できます。
2026年10月1日:新評価票へ完全移行
10月以降は新しい評価票・評価方法への完全移行が必須です。院内研修・マニュアル整備・システム更新を9月末までに完了させましょう。
旧評価票を使い続けていると10月以降に慌てることになります。経過措置期間中から新評価票での並行シミュレーションを進めておくことを強く推奨します。
7. 実務対応チェックリスト
8. よくある質問(FAQ)
本記事は2026年5月時点の診療報酬改定情報をもとに作成しています。基準値・評価方法の詳細は厚生労働省の告示・通知・評価票の手引きを必ずご確認ください。個別の対応については、所轄の地方厚生(支)局または専門の医療コンサルタントにご相談ください。


コメント
こんにちは
すもさんの記事では
急性期2〜5は従来どおり、該当患者割合(%)のみで判定します。指数方式の適用は急性期病院A/B・急性期1のみです。
と記載していただいてますが、
厚労省の入院基本料の様式10には
急性期病院入院基本料、急性期一般入院基本料(急性期一般入院基本料6を除く)〜については、基準該当患者割合に救急搬送応需係数を加える事で、基準患者割合に関わる指数を算出すること。
と記載されております。
急性期入院基本料2-5においても救急応需係数は影響すると判断しておりましたが、記事の記載の情報源等ありましたら教えていただけますとありがたいです。よろしくお願いします。
ぼっち様
お問い合わせありがとうございます。
確かに、急性期一般2〜5においても救急搬送応需係数が必要です。
誤った情報を提供していしまい、ご迷惑をおかけしました。
訂正させていただきたいと思います。