【2026年度診療報酬改定】医学管理・リハビリテーションの変更点とは?生活習慣病管理料・回復期リハビリ強化体制加算を開業医・病院向けに解説

未分類

【2026年度診療報酬改定】医学管理・リハビリテーションの変更点とは?
生活習慣病管理料・回復期リハビリ強化体制加算を開業医・病院向けに解説

療養計画書署名不要化・早期リハ加算増点・離床なしリハの減算・回復期リハ強化体制加算新設など全変更点を整理。

2026年診療報酬改定
医学管理
リハビリテーション
生活習慣病管理料
回復期リハビリ
特定疾患療養管理料
令和8年度改定

2026年(令和8年)6月の診療報酬改定では、医学管理・リハビリテーション分野で実務に直結する変更が多数行われました。生活習慣病管理料の療養計画書署名不要化・特定疾患療養管理料の算定制限追加・早期リハビリテーション加算の増点・離床を伴わないリハビリの減算・回復期リハビリ強化体制加算の新設など、クリニックから病院まで幅広く影響する内容です。

この記事では「医学管理でどう変わるか」「リハビリ算定はどう変わるか」「回復期病棟は何に注意すべきか」の3点を、開業医・病院管理者・医療事務担当者向けにわかりやすく解説します。

① 改定の全体像・背景

医学管理とリハビリテーションの分野では、「業務効率化・患者負担軽減」と「アウトカムに基づく適切な評価」という2つの方向性が明確になりました。

💡 今改定における医学管理・リハビリ領域の主な変更の柱
  • 生活習慣病管理料:療養計画書への患者署名が不要に(書類手続きの簡素化)
  • 特定疾患療養管理料:NSAIDs投与時など不適切な管理への算定制限追加
  • リハビリ:早期離床促進(早期加算増点・離床なしリハの減算)
  • 回復期リハビリ:より高い成果を上げる病棟への重点評価(強化体制加算新設)
  • リハビリ計画書:医師主導から多職種チーム主導への移行

② 生活習慣病管理料の見直し

高血圧症・糖尿病・脂質異常症等の生活習慣病患者の管理に算定する「生活習慣病管理料」について、実務的に重要な2つの見直しが行われました。

療養計画書への患者署名が不要に

生活習慣病管理料(ⅠおよびⅡ)において、療養計画書への患者署名が不要となりました。従来は患者本人の署名を求める書類手続きが必要でしたが、患者・医療機関双方の負担軽減を目的に要件が見直されました。

💡 実務への影響

療養計画書の作成・交付は引き続き必要ですが、患者署名の取得・保管という手続きが不要となります。診察の流れがスムーズになり、電子カルテ上での管理も簡素化されます。ただし、患者への計画書の交付・説明は引き続き必要です。

生活習慣病管理料(Ⅰ)の血液検査要件の追加

生活習慣病管理料(Ⅰ)において、原則として必要な血液検査等を少なくとも6か月に1回以上行うことが要件に追加されました。

項目 内容
対象 生活習慣病管理料(Ⅰ)を算定する医療機関
要件 必要な血液検査等を少なくとも6か月に1回以上実施すること
目的 生活習慣病の適切な管理(検査に基づく治療方針の見直し)を担保

生活習慣病管理料(Ⅱ)の包括範囲の見直し

生活習慣病管理料(Ⅱ)の包括範囲から、以下の内容が除外されました。これらは管理料に含めず、別途算定できるようになります。

包括から除外される内容
生活習慣病の治療管理の範囲を超える医学管理
生活習慣病と直接関係が乏しい疾患の管理
時間外・救急対応に関する医学管理
情報提供等に関連する評価

③ 特定疾患療養管理料の算定制限追加

NSAIDs投与時の算定除外

消化性潰瘍(胃潰瘍・十二指腸潰瘍)の患者に対して、禁忌とされている非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を処方した場合は、特定疾患療養管理料を算定できなくなりました。

⚠ 注意:消化性潰瘍患者へのNSAIDs処方は算定不可

胃潰瘍・十二指腸潰瘍を特定疾患として管理している患者に対し、禁忌薬であるNSAIDsを処方した場合は、その月の特定疾患療養管理料は算定できません。処方内容と管理疾患の整合性確認が必要です。

長期処方・リフィル処方箋への対応周知の義務化

特定疾患療養管理料等の算定要件として、患者の状態に応じて28日以上の長期処方またはリフィル処方箋での対応が可能であることを、院内の見やすい場所に掲示することが施設基準に追加されました。

長期処方やリフィル処方箋は、患者の通院負担を軽減する手段です。今改定では、患者への選択肢として積極的に周知することを医療機関に求める形で、算定要件への追加が行われました。掲示内容の準備・確認が必要です。

④ 早期リハビリテーション加算の増点

入院早期からのリハビリテーション実施を促進するため、早期リハビリテーション加算が見直されました。特に入院直後3日以内の加算が大幅に増点されています。

区分 改定前 改定後 増減
入院から3日以内 25点 60点 +35点
入院から4〜14日目 25点 25点 変更なし
算定可能期間 入院から30日以内 入院から14日以内 短縮
💡 3日以内の早期介入を重点評価

入院直後3日以内にリハビリを開始することへの評価が25点→60点と2.4倍に増点されました。一方、算定可能期間は14日以内に短縮されています。早期リハビリ体制を整備し、入院後できるだけ早くリハビリを開始することが求められます。

⑤ 離床を伴わないリハビリの評価適正化

今改定の目玉の一つが、患者の離床を伴わない(ベッド上での)リハビリテーションへの評価の見直しです。

項目 内容
対象 特定の患者に離床を伴わずに20分以上の個別療法を実施した場合
算定点数 所定点数の90%に相当する点数(10%減算)
算定制限 患者1人につき1日2単位まで
⚠ 注意:「特定の患者」の範囲に注意

離床なしリハビリの10%減算が適用されるのは「特定の患者」(状態が安定していて離床可能とされる患者等)に対して離床なしで実施した場合です。医学的理由により離床が困難な患者への対応については、適切な記録のもとで通常の点数が算定できます。減算対象の判断基準については最新の通知を確認してください。

改定の背景
廃用症候群の予防・早期回復には離床・起立・歩行訓練が有効とされています。ベッド上でのみ行うリハビリが長期化すると廃用が進みやすく、患者の回復を遅らせることがあります。この評価見直しは、積極的な離床を促す観点から導入されました。

⑥ 回復期リハビリ病棟の見直し

回復期リハビリテーション強化体制加算(新設)

回復期リハビリテーション病棟入院料1を届け出ている病棟を対象に、高い成果を上げる病棟をさらに評価する回復期リハビリテーション強化体制加算(80点)が新設されました。

要件 内容
前提 回復期リハビリ病棟入院料1の施設基準を満たすこと
実績指数 リハビリ実績指数が48以上(入院料1の基準42以上より高い水準)
退院前訪問指導 退院前訪問指導について十分な実績を有すること
排尿自立支援 排尿自立支援加算の届出を行っていること
加算点数 80点(入院料1の2,346点に上乗せ→合計2,426点/日)

リハビリ実績指数の引き上げ

回復期リハビリ病棟入院料の実績指数基準が引き上げられました。

入院料区分 改定前 改定後
入院料1 40以上 42以上(+2ポイント)
入院料2 30以上 32以上(+2ポイント)
入院料3 20以上 22以上(+2ポイント)
入院料4 基準なし 32以上(新設)
強化体制加算 48以上(新設)

実績指数の算出方法の変更

実績指数の算出にあたり、以下の変更が行われました。

変更項目 改定前 改定後
80歳以上患者の除外 実績指数算出から除外可 除外規定を廃止(80歳以上も算入)
FIM認知項目による除外基準 24点以下 14点以下(除外ハードル上昇)
⚠ 注意:高齢患者の除外廃止で実績指数が下がる可能性

80歳以上患者の除外規定廃止により、高齢患者を多く受け入れている病棟では実績指数が下がる可能性があります。現在の患者構成と改定後の実績指数を試算し、入院料区分の変更が生じないか早急に確認してください。

⑦ リハビリ実施計画書の変更

リハビリテーション実施計画書およびリハビリテーション総合実施計画書の説明方法・患者署名の取り扱いが見直されました。

項目 改定前 改定後
説明の主体 医師による説明 多職種による説明
患者の確認方法 患者署名 記録への確認内容の記載
💡 多職種チーム医療の推進

従来は医師がリハビリ計画書を説明し患者の署名を得る形でしたが、今改定からは理学療法士・作業療法士・言語聴覚士等の多職種が説明を担い、記録で確認を残す形に変更されます。リハビリスタッフが患者・家族と直接コミュニケーションを取りながら計画を共有する体制が正式に位置づけられました。

⑧ 注意事項・よくある間違い

⚠ 注意①:生活習慣病管理料(Ⅰ)は6か月に1回の血液検査が必須

療養計画書の署名が不要になった一方で、生活習慣病管理料(Ⅰ)では血液検査を6か月に1回以上実施することが要件化されました。検査未実施が続いた場合は算定要件を満たさない可能性があります。検査スケジュールの管理徹底が重要です。

⚠ 注意②:長期処方・リフィル対応可能の院内掲示を忘れずに

特定疾患療養管理料等の算定要件として、28日以上の長期処方またはリフィル処方箋での対応が可能であることの掲示が必要になりました。掲示未対応の施設は要件違反となります。院内の掲示物を令和8年6月の施行前に準備してください。

⚠ 注意③:離床なしリハビリの減算は記録管理が重要

離床を伴わずに実施したリハビリに対する10%減算が導入されます。医学的理由(術後安静・骨折等)で離床が困難な患者への対応は通常算定が可能ですが、その理由をリハビリ記録・診療録に明確に記載することが算定根拠となります。

⚠ 注意④:回復期リハビリの実績指数を今すぐ試算

実績指数の引き上げ(各区分+2ポイント)および80歳以上除外廃止により、現在の実績指数が新基準を下回る病棟では入院料区分の変更が生じる可能性があります。令和8年6月の施行前に影響試算を行い、必要であれば受入患者の見直しや体制強化を検討してください。

⑨ よくある質問

Q生活習慣病管理料(Ⅱ)の包括範囲から除外される「生活習慣病と直接関係が乏しい疾患の管理」とは具体的に何ですか?
A生活習慣病管理料(Ⅱ)は高血圧症・糖尿病・脂質異常症の管理が主な対象です。例えば、整形外科疾患・皮膚疾患・眼科疾患などの管理は「生活習慣病と直接関係が乏しい」として包括から除外され、別途算定できるようになります。具体的な範囲の詳細は改定後の通知をご確認ください。
Q早期リハビリテーション加算は、疾患別リハビリテーション料すべてに適用されますか?
A早期リハビリテーション加算は、脳血管疾患等・廃用症候群・運動器・呼吸器・心大血管疾患リハビリテーション料のうち、対象となるものに算定できます。各疾患別リハビリの具体的な対象については通知を確認してください。疾患別リハビリ料自体の点数(単位あたり)は今改定では変更されていません。
Q回復期リハビリ病棟で80歳以上患者の除外廃止はいつから適用されますか?
A令和8年6月1日の施行日から適用されます。施行後の実績指数の算出(次回の届出・評価時)から80歳以上も算入されます。ただし、実績指数の評価期間の取り扱いについては経過措置がある場合もあります。詳細は施設基準通知と疑義解釈を確認してください。
Qリハビリ実施計画書の「多職種説明」は、PT・OT・STのいずれかが行えばよいですか?
A改定後は多職種による説明が認められます。担当の理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)等が計画書の内容を説明し、その旨を記録に残すことが求められます。ただし、医師がリハビリ処方・総合的な方針を決定するという役割は変わりません。
Q回復期リハビリ強化体制加算(80点)は、毎日算定できますか?
A強化体制加算は入院料への上乗せ加算であり、入院料1を算定する日について算定できます。ただし、具体的な算定方法(入院日ごとの算定か等)については改定後の告示・通知を確認してください。

⑩ まとめチェックリスト

生活習慣病管理料(Ⅰ・Ⅱ)の療養計画書から患者署名欄を削除し、新様式に対応した
生活習慣病管理料(Ⅰ)の血液検査6か月1回以上の要件を管理フローに組み込んだ
生活習慣病管理料(Ⅱ)の包括から除外される医学管理の種類を確認し、別途算定への切り替えを検討した
長期処方・リフィル処方箋対応可能の院内掲示を令和8年6月までに準備した
消化性潰瘍患者へのNSAIDs処方を確認し、特定疾患療養管理料の算定可否を見直した
早期リハビリテーション加算(3日以内:60点)の増点を請求システムに反映した
離床なしリハビリの10%減算・1日2単位制限について、リハビリスタッフへ周知した
回復期リハビリ病棟の実績指数(新基準)を試算し、現行の入院料区分が維持できるか確認した
80歳以上患者の除外廃止・FIM認知項目基準変更(14点以下)の影響を分析した
強化体制加算(80点)の算定要件(実績指数48以上・退院前訪問・排尿自立支援届出)を満たすか検討した
リハビリ実施計画書の説明・記録方法を多職種対応に切り替えた

【免責事項】
本記事は2026年4月時点の情報(厚生労働省公表資料・答申・告示・通知等)をもとに作成しています。診療報酬の算定要件・点数は改定後に公表される告示・通知が正式情報です。算定にあたっては必ず最新の通知・施設基準をご確認ください。また、個別の算定可否については担当の地方厚生局または専門家にご相談ください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました