〖2026年度診療報酬改定〗救急外来医学管理料とは?新設の背景・点数・算定要件・施設基準を医療機関向けに解説

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〖2026年度診療報酬改定〗救急外来医学管理料とは?新設の背景・点数・算定要件・施設基準を医療機関向けに解説

2026年度(令和8年度)診療報酬改定では、救急外来医療の評価が大きく再編され、救急外来医学管理料が新設されます。従来の夜間休日救急搬送医学管理料を見直し、救急搬送患者だけでなく、夜間・休日・深夜に救急外来を受診する患者への医学管理も含めて、救急外来を24時間提供できる体制を評価する内容です。

この記事では、救急外来医学管理料の点数、救急搬送医学管理料・夜間休日救急医学管理料の違い、救急外来緊急検査対応加算、時間外救急搬送加算、院内トリアージ実施体制加算、救急時医療情報取得加算まで、医療機関が確認しておきたいポイントを整理します。

出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定 10.重点的な対応が求められる分野(救急医療・小児周産期医療)」

この記事でわかること

  1. 救急外来医学管理料が新設される背景
  2. 救急搬送医学管理料と夜間休日救急医学管理料の点数
  3. 救急外来緊急検査対応加算の対象となる検査・処置
  4. 時間外救急搬送加算・精神科疾患患者等受入加算の考え方
  5. 施設基準で確認すべき人員配置・検査体制・地域連携
  6. 院内トリアージ実施体制加算と救急時医療情報取得加算の注意点

① 救急外来医学管理料の新設とは

救急外来医学管理料は、救急診療を行うにあたり、十分な人員配置、検査・処方等を実施できる設備、地域の救急医療に関する取組を備えた保険医療機関による救急外来診療を評価するために新設されます。

ポイントは、単に救急患者を診ることだけではなく、救急隊からの受入要請への対応、院内トリアージ、初期診療、検査、処置、入院・転院・帰宅判断までの一連の救急外来管理が評価対象として整理されたことです。

② 救急外来医学管理料の点数

救急外来医学管理料は、大きく「救急搬送医学管理料」と「夜間休日救急医学管理料」に分けられます。

区分点数主な対象患者
救急搬送医学管理料1800点救急用自動車等により緊急搬送された患者
救急搬送医学管理料2600点救急用自動車等により緊急搬送された患者
救急搬送医学管理料3200点救急用自動車等により緊急搬送された患者
夜間休日救急医学管理料1600点時間外・休日・深夜に救急外来を受診した患者
夜間休日救急医学管理料2400点時間外・休日・深夜に救急外来を受診した患者
夜間休日救急医学管理料350点時間外・休日・深夜に救急外来を受診した患者

救急搬送医学管理料は、救急車や救急医療用ヘリコプターなどにより緊急搬送された患者が対象です。一方、夜間休日救急医学管理料は、救急搬送ではないものの、時間外・休日・深夜に救急外来を受診した患者が対象になります。

③ 救急外来緊急検査対応加算の新設

救急外来医学管理料では、診療に基づき検査、画像診断、処置又は注射を実施する必要性を認めた場合に、救急外来緊急検査対応加算を算定できる区分が新設されます。

加算点数
救急外来緊急検査対応加算1300点
救急外来緊急検査対応加算2200点

対象となる主な内容は、出血・凝固検査、血液化学検査、免疫血液学的検査、細菌培養同定検査、CT撮影、MRI撮影、一定の注射実施料、処置料などです。ただし、皮内・皮下・筋肉内注射、静脈内注射、留置カテーテル設置、消炎鎮痛等処置、腰部又は胸部固定帯固定などは対象から除かれます。

④ 時間外救急搬送加算と精神科疾患患者等受入加算

救急搬送医学管理料については、土曜日、日曜日、祝日又は夜間に救急搬送された患者に医学管理を行った場合、受診時間帯に応じて時間外救急搬送加算を算定できます。

区分点数
土曜・日曜・祝日の夜間300点
土曜・日曜・祝日以外の日の夜間250点
土曜・日曜・祝日の夜間以外の時間200点

また、急性薬毒物中毒(アルコール中毒を除く)と診断された患者、又は過去6月以内に精神科受診の既往がある患者に対して必要な医学管理を行った場合は、精神科疾患患者等受入加算400点を所定点数に加算できます。

⑤ 主な施設基準:人員配置・設備・地域連携が重要

救急外来医学管理料は、施設基準を満たす保険医療機関で算定する評価です。自院がどの区分に該当するかは、救急医療機関としての位置づけ、救急搬送件数、人員配置、検査体制、地域の救急医療への関与状況を確認する必要があります。

厚生労働省資料では、救急外来医学管理料の主な施設基準等として、対象患者、病院の機能・実績、職員配置、救急外来の施設、地域の救急医療に関する取組等が整理されています。特に管理料1・2では、救急外来を24時間応需できる実効的な体制が重視されます。

確認項目主なポイント
病院の機能・実績第二次救急医療機関、第三次救急医療機関、精神科救急医療施設、救急病院・救急診療所の認定、救急搬送件数など
職員の配置専任医師、専任看護師、薬剤師、臨床検査技師、診療放射線技師、必要に応じた救急救命士の活用など
救急外来の設備専用の診察室・ベッド区画、救急蘇生装置、血液検査、CT、MRI等を実施できる体制
地域の救急医療への取組BCPに基づく災害訓練、MC協議会等への参加、ウツタイン様式調査への協力、救急救命士の実習受入など

施設基準等で確認したい主な内容

施設基準は文章で読むと少し複雑ですが、実務上は「自院がどの区分に該当するか」「その区分で必要な人員・設備・実績を満たしているか」を順番に確認すると整理しやすくなります。

まず確認したい全体像

確認する項目見ておきたい内容院内で確認する資料の例
対象患者救急搬送患者か、時間外・休日・深夜の救急外来受診患者かを区分する。救急搬送記録、受付時間、救急外来受診記録
病院の機能第二次救急、第三次救急、精神科救急医療施設、救急病院・救急診療所の認定等を確認する。指定通知、認定書、地域の救急医療体制に関する資料
救急搬送実績管理料1・2では救急搬送件数が重要。年1,500件、年800件などの基準に該当するか確認する。年間救急搬送件数、救急受入台帳、消防からの搬送記録
職員配置救急外来診療を応需する時間帯に、専任医師・専任看護師等を配置できるか確認する。勤務表、宿日直表、救急外来配置表
検査・画像診断体制血液検査、CT、MRI等を必要な時間帯に実施できるか確認する。検査部門の勤務表、放射線部門の待機表、オンコール表
救急外来設備専用診察室、ベッド区画、救急蘇生装置等が整備されているか確認する。救急外来の平面図、設備一覧、点検記録
地域連携・教育BCP訓練、MC協議会等への参加、救急救命士実習受入、職員教育等の実施状況を確認する。研修記録、会議参加記録、BCP訓練記録、実習受入記録

管理料1・2・3で差が出やすいポイント

区分病院機能・救急搬送件数人員配置・検査体制の考え方注意点
管理料1第二次救急・第三次救急・精神科救急医療施設等として、より高い救急受入実績が求められる。救急搬送件数は年1,500件以上、人口の少ない地域では年1,200件以上が目安。専任医師・専任看護師の常時配置に加え、救急外来診療経験5年以上の医師を勤務シフトに2名以上含むことが示されている。血液検査、CT、MRIを常時実施できる体制も確認する。救急外来を24時間応需する中核的な体制を評価する区分。勤務表、検査体制、緊急手術体制の説明資料を整えておきたい。
管理料2救急搬送件数は年800件以上、人口の少ない地域では年640件以上が目安。救急外来診療を応需する時間帯に、専任医師が救急外来近くに勤務し、専任看護師が救急外来内に勤務する体制を確認する。血液検査・CT撮影を実施できる体制を確認する。施設基準の体制を取る時間以外に救急外来診療を実施した場合、管理料2は算定できない点に注意。
管理料3管理料1・2よりも小規模な救急外来体制を想定。救急病院・救急診療所としての認定や、夜間休日の救急診療体制を確認する。自院の救急外来体制、対象患者、算定時間帯、検査・処置の実施体制を整理する。管理料1・2に該当しない場合でも、対象患者や算定時間帯の整理が必要。

人員配置で確認したいこと

職種・体制確認ポイント
専任医師救急外来診療を応需する時間帯に、救急外来近くで対応できる体制があるか。管理料1では救急外来診療経験5年以上の医師を勤務シフトに2名以上含む点も確認する。
専任看護師救急外来内に勤務しているか。時間帯や救急外来の業務量に応じて、複数名配置が必要にならないか確認する。
薬剤師救急外来患者に対して、注射薬・内服薬の調剤等を行える体制があるか確認する。
臨床検査技師血液検査や細菌培養検査等を救急外来診療に必要なタイミングで実施できるか確認する。
診療放射線技師CT、MRI等の画像診断を実施できる体制があるか確認する。管理料2ではCT撮影の従事者が緊急呼出し当番でも可とされている。
救急救命士地域や医療機関の実情に応じ、救急外来で適切な業務を担う場合は、院内研修の実施状況も確認する。
緊急手術体制管理料1では、麻酔科医及び手術室看護師の緊急呼出し当番等により、緊急手術を開始できる体制が常時確保されているか確認する。

設備・検査体制で確認したいこと

項目確認ポイント実務上の見方
救急外来区画救急外来診療を行う専用の診察室とベッドを有する区画を設けているか。平面図や運用ルールで、通常外来と救急外来の動線・区画を説明できるようにしておく。
救急蘇生装置等救急外来診療を行う区画に、必要な救急蘇生装置等を常時備えているか。ICU等と隣接しているなど要件を満たす場合は共用も可能。配置場所と使用可能時間を確認する。
血液検査救急外来患者に対して血液検査を実施できる体制があるか。夜間・休日の検査対応、技師配置、検体搬送、結果返却までの流れを確認する。
CT撮影救急外来患者に対してCT撮影を実施できる体制があるか。管理料1では常時体制、管理料2では緊急呼出し当番による対応可とされている点を確認する。
MRI撮影管理料1ではMRI撮影を実施できる体制を常時確保することが示されている。MRI対応時間、技師・読影体制、夜間休日の運用を確認する。

地域連携・教育で確認したいこと

項目確認ポイント
BCP・災害訓練業務継続計画(BCP)を策定し、BCPに基づく災害訓練を年1回以上実施しているか確認する。
MC協議会等への参加メディカルコントロール協議会、救急医療対策協議会、救急患者受入コーディネーター確保事業に関わる会議等への参加状況を確認する。
ウツタイン様式調査消防機関が実施するウツタイン様式調査への協力状況を確認する。
救急救命士への指示要請対応消防機関に属する救急救命士からの特定行為の実施に係る指示要請に対応できる体制を確認する。
地域関係機関との検討会都道府県、医師会、救急医療機関、消防機関等と、連携体制の構築・向上を目的とした検討会を開催又は参加しているか確認する。
救急救命士の病院実習救急救命士の病院実習の受け入れ実績や受入体制を確認する。
在宅医療との連携在宅医療関係者と救急医療関係者の協議の場に参加し、在宅療養等に関する救急搬送の情報共有ルールを確認する。
職員教育救急に関する教育コースを年1回以上実施する、又は受講推奨を周知し受講状況を年1回以上把握する。

届出前の院内チェックリスト

  • 自院が管理料1・2・3のどの区分に該当するか整理した
  • 年間の救急搬送件数を確認し、根拠資料を準備した
  • 救急外来診療を応需する時間帯の医師・看護師配置を勤務表で確認した
  • 薬剤師、臨床検査技師、診療放射線技師の配置又は呼出し体制を確認した
  • 血液検査、CT、MRIの実施可能時間と運用を確認した
  • 救急外来区画、ベッド、救急蘇生装置等の配置を説明できるようにした
  • BCP訓練、地域会議、救急救命士実習受入、職員研修などの記録を整理した
  • 管理料2の場合、施設基準の体制を取る時間帯と算定対象時間帯にずれがないか確認した

特に管理料1・2では、救急外来診療を応需する時間帯における医師・看護師の配置、検査や画像診断を実施できる体制、地域連携への参加状況が重要になります。管理料2については、施設基準の体制を取る時間以外に救急外来診療を実施した場合には算定できない点にも注意が必要です。

実務上は、施設基準の文言を確認するだけでなく、勤務表、救急外来の配置図、検査・画像診断の対応時間、緊急呼出し体制、職員研修記録、BCP訓練記録、地域会議への参加記録など、届出時に説明できる資料を早めに整理しておくと安心です。

⑥ 院内トリアージ実施体制加算も新設

救急外来医学管理料、地域連携小児夜間・休日診療料、地域連携夜間・休日診療料について、時間外等、休日又は深夜に受診した患者に対して院内トリアージを実施する体制が整備されている場合、院内トリアージ実施体制加算50点が新設されます。

施設基準では、トリアージ目標開始時間、再評価時間、トリアージ分類、トリアージの流れを含む実施基準を定め、定期的に見直すことが求められます。また、患者への説明や院内掲示、原則としてウェブサイトへの掲載も必要です。

なお、従来の院内トリアージ実施料は廃止されるため、算定ロジックや院内掲示物、ホームページ掲載内容の見直しが必要になります。

⑦ 救急時医療情報取得加算の新設

救急外来医学管理料を算定する意識障害の患者に対して、救急時医療情報閲覧機能及び電子処方箋管理サービスを活用し、最新の診療情報を取得した場合、救急時医療情報取得加算50点を月1回に限り算定できます。

対象となるのは、JCSⅡ-10以上、GCS12点以下、又は無動症の患者です。施設基準として、電子処方箋を発行する体制又は調剤情報を電子処方箋管理サービスに登録する体制、電子処方箋対応医療機関であることのウェブサイト掲示、救急時医療情報閲覧機能を有していることなどが求められます。

⑧ 医療機関が準備しておきたいこと

  • 自院が救急搬送医学管理料1・2・3、夜間休日救急医学管理料1・2・3のどの区分に該当するか確認する
  • 救急搬送件数、夜間休日の応需体制、人員配置、検査体制を整理する
  • 救急外来でCT、MRI、血液検査、処置等を実施できる体制を確認する
  • 院内トリアージの実施基準、再評価時間、患者説明、院内掲示、ウェブサイト掲載を整備する
  • 電子処方箋、救急時医療情報閲覧機能、ウェブサイト掲示の対応状況を確認する
  • レセコン・電子カルテ側で旧評価から新評価への算定設定を見直す

⑨ よくある質問

Q. 救急外来医学管理料は救急搬送患者だけが対象ですか?

A. 救急搬送医学管理料は救急用自動車等により緊急搬送された患者が対象です。一方、夜間休日救急医学管理料は、救急搬送ではない患者であっても、時間外・休日・深夜に救急外来を受診した場合に対象となります。

Q. 救急外来緊急検査対応加算はどのような場合に算定しますか?

A. 診療に基づき、血液検査、細菌培養検査、CT、MRI、一定の注射・処置などを実施する必要性を認め、施設基準に応じた区分に該当する場合に算定します。

Q. 院内トリアージ実施料はどうなりますか?

A. 院内トリアージ実施料は廃止され、院内トリアージ実施体制加算50点が新設されます。今後はトリアージ実施体制、院内掲示、ウェブサイト掲載、専任医師又は経験を有する専任看護師の配置などを確認する必要があります。

⑩ まとめチェックリスト

  • 救急外来医学管理料は、救急外来を24時間提供できる体制を評価する新設項目
  • 救急搬送医学管理料は800点・600点・200点の3区分
  • 夜間休日救急医学管理料は600点・400点・50点の3区分
  • 救急外来緊急検査対応加算は300点・200点
  • 時間外救急搬送加算は時間帯により300点・250点・200点
  • 精神科疾患患者等受入加算は400点
  • 院内トリアージ実施体制加算は50点、院内トリアージ実施料は廃止
  • 救急時医療情報取得加算は50点、意識障害患者への情報取得が対象
  • 人員配置、検査体制、救急外来設備、地域連携、電子処方箋対応を早めに確認する

救急外来医学管理料は、救急医療機関の実際の負担や24時間応需体制を評価する改定です。算定にあたっては、単に点数を確認するだけでなく、自院の救急外来体制、人員配置、検査体制、院内トリアージ、電子処方箋・医療情報閲覧機能まで含めて、施行前に整理しておくことが重要です。

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