令和8年度改定|回復期リハビリテーション病棟入院料の見直し:点数・実績指数・施設基準

医療

令和8年度診療報酬改定では、回復期リハビリテーション病棟入院料について、入院料1~5の点数が引き上げられるとともに、リハビリテーション実績指数、重症患者の対象範囲、休日リハビリテーション体制、退院支援、院内掲示・ウェブ掲載などが見直されます。特に医事課、リハビリテーション部門、看護部、診療情報管理部門は、点数改定だけでなく、実績指数の算出方法と届出前の実績管理を早めに確認しておく必要があります。

参考資料:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定」関連資料(回復期リハビリテーション病棟入院料の見直し、11~23ページ)
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001673287.pdf

この記事でわかること

  • 回復期リハビリテーション病棟入院料1~5の改定後点数
  • 新設される回復期リハビリテーション強化体制加算の要件
  • リハビリテーション実績指数の基準、算出方法、除外対象の見直し
  • 重症患者の対象範囲と新規受入割合の変更点
  • 休日リハビリ、退院前訪問指導、高次脳機能障害者への退院支援の実務対応
  • 院内掲示・ウェブサイト掲載で準備しておきたい情報

① 見直しの全体像

今回の見直しは、回復期リハビリテーション病棟の評価を単に引き上げるだけではありません。アウトカム評価をより反映するため、実績指数の基準と算出方法を見直し、入院料2・4にも新たに実績指数要件を導入します。一方で、重症患者の対象範囲を整理し、重症患者割合の基準は引き下げられます。

また、土曜日・休日を含めたリハビリテーション提供体制、高次脳機能障害者への退院支援、退院前訪問指導料の出来高算定化、実績指数等のウェブサイト掲載など、病棟運用そのものに関わる変更も多く含まれます。

② 入院料1~5の点数改定

区分現行改定後生活療養を受ける場合
回復期リハビリテーション病棟入院料12,229点2,346点2,326点
回復期リハビリテーション病棟入院料22,166点2,274点2,253点
回復期リハビリテーション病棟入院料31,917点2,062点2,041点
回復期リハビリテーション病棟入院料41,859点2,000点1,980点
回復期リハビリテーション病棟入院料51,696点1,794点1,774点

入院料3・4では、休日リハビリテーション提供体制の整備が要件化されることに伴い、評価も見直されています。点数改定だけを反映するのではなく、休日体制、単位数、勤務シフト、患者別提供実績の確認までセットで準備する必要があります。

③ 新設:回復期リハビリテーション強化体制加算

回復期リハビリテーション病棟入院料1を届け出ている病棟を対象に、特に質の高い取組を評価する加算として、回復期リハビリテーション強化体制加算が新設されます。

項目内容院内で確認する資料の例
点数80点。患者1人につき1日につき所定点数に加算算定対象患者一覧、算定開始日管理
対象病棟回復期リハビリテーション病棟入院料1の届出を行っている病棟施設基準届出書、病棟届出状況
実績指数届出を行う月、各年度4月・7月・10月・1月に算出したリハビリテーション実績指数が48以上実績指数計算シート、FIMデータ、退棟患者一覧
排尿自立支援A251排尿自立支援加算の届出を行っている保険医療機関届出控え、対象患者管理、カンファレンス記録
摂食嚥下H004摂食機能療法の注3に規定する摂食嚥下機能回復体制加算1の届出を行っていることが望ましい届出状況、嚥下評価、チーム活動記録
退院前訪問指導直近6か月間に自宅へ退院した患者のうち1割以上に退院前訪問指導を実施退院先別患者一覧、訪問指導記録、算定実績

この加算は、入院料1の病棟であっても、実績指数48以上や退院前訪問指導1割以上など、月次・四半期での実績管理が必要です。届出の直前に集計するのではなく、少なくとも6か月単位で実績を追える体制を整えておきましょう。

④ リハビリテーション実績指数の基準見直し

実績指数は、入院料1・3で基準が引き上げられ、入院料2・4では新たに要件化されます。入院料2・4については、令和8年9月30日までに限り、リハビリテーション実績指数に係る施設基準を満たすものとする経過的な取扱いが示されています。

区分現行改定後実務上の注意点
入院料140以上42以上基準引き上げ。算出方法の変更も同時に確認
入院料2なし32以上新たに実績指数要件を導入
入院料335以上37以上基準引き上げ。休日リハ体制もあわせて確認
入院料4なし32以上新たに実績指数要件を導入
入院料5なしなし別途、算定開始後の期間に応じた取扱いに注意

また、FIMの測定に関する研修会を年1回以上開催する要件について、入院料1・3だけでなく入院料2・4にも広がります。FIM評価のばらつきは実績指数の信頼性に直結するため、研修記録、参加者名簿、評価ルールの周知資料を残しておくことが重要です。

⑤ 実績指数の算出方法と除外対象の変更

改定後の実績指数では、FIM運動項目のうち「歩行・車椅子」と「トイレ動作」について、入棟時または入室時に5点以下で、退棟時または退室時に6点以上へ改善した場合、それぞれFIM運動項目利得に1点を加える仕組みが示されています。歩行・移動とトイレ動作の自立度改善をより評価する方向です。

見直し項目改定後の内容準備すること
歩行・車椅子入棟時5点以下、退棟時6点以上の場合に1点加点入退棟時FIMの入力精度、評価日、評価者を確認
トイレ動作入棟時5点以下、退棟時6点以上の場合に1点加点看護・リハ間でFIM評価の基準を統一
除外対象患者FIM認知項目は24点以下から14点以下へ見直し。80歳以上の除外は削除除外患者リストの作成ルールを改定後基準に更新
除外できる割合100分の30を超えない範囲から、100分の20を超えない範囲へ縮小除外割合の月次チェックを追加
実績が認められない場合実績指数が2回連続して30を下回った場合へ見直し2回連続低下時の院内アラートを設定

除外対象の範囲が狭まり、除外できる割合も低くなるため、これまでの計算方法で基準を満たしていた病棟でも、改定後のルールで再計算すると結果が変わる可能性があります。FIMデータ、疾患別リハ単位数、在棟日数、算定上限日数を同じデータセットで確認できるようにしておきましょう。

⑥ 重症患者の対象範囲と割合基準

回復期リハビリテーション病棟入院料1~4では、重症患者の対象範囲が見直されます。FIM得点では「21点以上55点以下」が対象となり、高次脳機能障害と診断された患者、脊髄損傷と診断された患者も追加されます。

項目現行改定後
重症患者の対象範囲日常生活機能評価10点以上、またはFIM得点55点以下日常生活機能評価10点以上、またはFIM得点21点以上55点以下
追加される患者資料上、追加記載なし高次脳機能障害と診断された患者、脊髄損傷と診断された患者
入院料1・2の新規受入割合4割以上3割5分以上
入院料3・4の新規受入割合3割以上2割5分以上

対象範囲が「FIM21点以上55点以下」に整理されることで、極めて低いFIM運動項目の患者をどのように扱うか、従来と同じ感覚で集計しないことが重要です。診療情報管理部門とリハ部門で、重症患者リストの抽出条件を改定後基準に更新しましょう。

⑦ 休日リハビリテーション体制の見直し

回復期リハビリテーション病棟入院料1・2に加え、入院料3・4についても、土曜日・休日を含め全ての日にリハビリテーションを提供できる体制を備えることが要件化されます。また、土曜日・休日の1日当たりリハビリテーション提供単位数について、平均3単位以上など、曜日により著しい提供単位数の差がない体制が求められます。

これに伴い、休日リハビリテーション提供体制加算を算定できる対象から、回復期リハビリテーション病棟入院料3・4の患者が除外され、対象は回復期リハビリテーション病棟入院料5および回復期リハビリテーション入院医療管理料の患者のみに変更されます。

⑧ 退院支援・退院前訪問指導の見直し

回復期リハビリテーション病棟入院料等では、退院前訪問指導料を出来高で算定できることとされます。ただし、入院後早期に退院前訪問指導の必要があると認められ、退院前訪問指導料を2回算定する場合には、退院前訪問指導料とH003-2リハビリテーション総合計画評価料の注3に規定する入院時訪問指導加算との併算定はできない整理です。

退院支援の項目改定後の内容実務上の確認ポイント
退院前訪問指導料回復期リハビリテーション病棟入院料等で出来高算定可能訪問実施日、訪問理由、退院先、算定回数を管理
2回算定時の併算定入院時訪問指導加算との併算定不可となる場合あり入院時訪問指導加算と退院前訪問指導料の算定履歴を照合
高次脳機能障害者への退院支援支援センター、医療機関、障害福祉サービス事業所等の情報を把握し、退院時に説明・提供地域資源リスト、説明記録、同意書、情報提供記録
リハビリテーション総合実施計画書等同意が得られた場合、利用予定先へ3か月以内に作成した計画書等を文書提供提供先、提供日、文書控え、患者・家族同意の記録

退院支援は、算定だけでなく、退院後の医療・介護・障害福祉サービスへの移行支援としての記録整備が重要です。高次脳機能障害者支援センターや障害福祉サービス事業所等の地域資源リストは、病棟ごとの属人的な資料ではなく、院内で更新責任者を決めて管理すると運用しやすくなります。

⑨ 院内掲示・ウェブサイト掲載の要件

リハビリテーション実績指数等について、院内掲示に加え、ウェブサイトへの掲載が要件化されます。自ら管理するホームページ等を有しない場合はこの限りではないとされていますが、医療機関の公式サイトを持つ場合は、公開ページの準備が必要です。

公開項目内容更新頻度・確認事項
退棟患者数前月までの3か月間に回復期リハビリテーション病棟または病室から退棟した患者数少なくとも3か月ごとに院内掲示。ウェブ掲載も確認
状態区分別内訳退棟患者数のうち、回復期リハビリテーションを要する状態の区分別内訳診療情報管理データと照合
直近のリハビリテーション実績指数定められた方法で算出した直近の実績指数算出根拠、掲載値、更新日を管理
ウェブサイト掲載上記掲示事項をウェブサイトに掲載公式サイトの掲載場所、更新担当、公開前確認フローを決める

⑩ 医療機関が準備しておきたいこと

準備事項確認する内容担当部署の例
改定後点数の反映入院料1~5、生活療養を受ける場合、強化体制加算80点医事課、システム担当
実績指数の再計算改定後基準、歩行・車椅子とトイレ動作の加点、除外対象の変更リハ部門、診療情報管理、医事課
FIM研修の実施入院料1~4で年1回以上の研修会開催を確認リハ部門、看護部、教育担当
休日リハ体制土曜日・休日を含む提供体制、平均3単位以上、曜日差の確認リハ部門、病棟管理者、人事
重症患者リストの更新FIM21~55点、高次脳機能障害、脊髄損傷の追加診療情報管理、リハ部門、医事課
退院支援の記録整備退院前訪問指導、地域資源情報、計画書提供、同意記録地域連携室、MSW、リハ部門
掲示・ウェブ掲載退棟患者数、状態区分別内訳、実績指数の3か月ごとの公開施設基準担当、広報、Web担当

⑪ 届出前チェックリスト

  • 入院料1~5の改定後点数を医事システムに反映する準備ができている
  • 入院料2・4で新たに実績指数要件が入ることを関係部署に共有した
  • 改定後の実績指数算出方法で、直近6か月分を試算した
  • 歩行・車椅子、トイレ動作のFIM加点条件を評価者に周知した
  • 実績指数の除外対象患者と除外割合のルールを更新した
  • FIM測定に関する年1回以上の研修計画と記録様式を整えた
  • 重症患者の抽出条件を、FIM21点以上55点以下等の改定後基準に変更した
  • 土曜日・休日を含むリハ提供体制と平均単位数を確認した
  • 退院前訪問指導の実施割合、算定履歴、併算定チェックを行える
  • 高次脳機能障害者への退院支援に必要な地域資源リストを整備した
  • 実績指数等の院内掲示とウェブサイト掲載の担当・更新日を決めた

FAQ

Q1. 入院料2・4でも実績指数の管理が必要になりますか。

はい。改定後は入院料2・4にも実績指数の要件が導入され、いずれも32以上とされています。入院料1・3と同様に、FIM、在棟日数、算定上限日数、除外対象の管理が必要です。

Q2. 回復期リハビリテーション強化体制加算は全病棟が対象ですか。

資料上、対象は回復期リハビリテーション病棟入院料1を算定する病棟です。実績指数48以上、排尿自立支援加算の届出、退院前訪問指導の実施割合などを確認する必要があります。

Q3. 高齢患者は実績指数から除外しやすいままですか。

いいえ。現行で除外対象に含まれていた「年齢80歳以上」は削除されます。また、除外できる患者割合も100分の20を超えない範囲へ縮小されるため、改定後ルールでの再計算が必要です。

Q4. ウェブサイト掲載は何を載せればよいですか。

前月までの3か月間の退棟患者数、状態区分別内訳、直近のリハビリテーション実績指数が対象です。院内掲示だけでなく、自院管理のホームページ等がある場合はウェブサイト掲載の準備も必要です。

回復期リハビリテーション病棟入院料の見直しは、点数改定、アウトカム評価、休日体制、退院支援、情報公開がまとめて動く改定です。施設基準担当だけで抱えず、医事課、リハビリテーション部門、看護部、地域連携室、Web担当が同じチェックリストを見ながら、届出前の実績確認と運用整備を進めましょう。

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