【2026年診療報酬改定】急性期・高度急性期入院医療の変更点を徹底解説|急性期病院A・B新設・看護必要度見直し・ICU再編

【2026年診療報酬改定】急性期・高度急性期入院医療の変更点を徹底解説
急性期病院A・B新設・看護必要度見直し・ICU再編

急性期病院A(1,930点)・B新設で病院機能を適切評価。重症度・医療・看護必要度の基準値引き上げと施設届出の対応ポイントを整理

令和8年度診療報酬改定
急性期病院A・B
看護必要度
ICU再編
病院経営者向け
2026年6月施行

「急性期病院A・Bって何?うちの病院は対象になる?」「看護必要度の基準値が上がると聞いたが、どう対応すれば?」令和8年(2026年)度診療報酬改定では、急性期・高度急性期入院医療の評価体系が大きく再編されました。

最大のポイントは「急性期病院一般入院基本料A・B」の新設です。救急搬送件数・全身麻酔手術件数という病院単位の実績で区分され、要件を満たす急性期病院は最大1,930点(急性期病院A)を算定できます。一方で、重症度・医療・看護必要度の基準値も引き上げられており、対応が必要な病院も多くあります。

この記事では「自院は急性期病院A・Bに該当するか」「看護必要度はどう変わったか」「ICU・ハイケアユニットはどう再編されたか」を体系的に解説します。

① 改定の背景と方向性

これまでの急性期入院料(急性期一般入院料1〜6)は主に看護師配置比率(7対1・10対1など)と重症度・医療・看護必要度の割合で評価されてきました。しかしこの基準だけでは、地域で実際に担っている救急・手術機能が十分に反映されないという課題がありました。

令和8年度改定では「病院単位で地域の急性期機能をどれだけ担っているか」を重視し、救急搬送件数・全身麻酔手術件数を新たな評価軸として加えた「急性期病院一般入院基本料」が新設されました。

改定の主な方向性 具体的な内容
急性期機能の重点評価 救急搬送・全身麻酔手術実績に基づく新区分(A・B)を新設
看護必要度の精緻化 基準値の引き上げと救急搬送加算の新設
高度急性期の整理 ICUを旧6区分から新3区分に簡素化
HCUの機能強化 ハイケアユニットの実績要件新設と点数引き上げ

② 急性期病院A・Bの新設と点数

令和8年6月から、既存の急性期一般入院料1〜6に加えて「急性期病院A一般入院料」「急性期病院B一般入院基本料」が新設されます。

区分 点数(1日) 特徴
急性期病院A一般入院料 1,930点 最高水準。大規模救急・手術実績が必須
多職種7対1急性期B 1,898点 急性期病院Bで多職種チーム体制を評価
急性期一般入院料1・多職種7対1急性期4 1,874点 現行の最高評価水準(据え置き)
急性期病院B一般入院基本料 1,643点 地域の中核的救急病院を幅広く評価
急性期一般入院料2〜6 (従来どおり) 引き続き算定可能
💡 急性期病院Aの点数は現行最高水準より56点高い

現在の急性期一般入院料1は1,874点ですが、急性期病院Aは1,930点と56点上回る設定です。施設基準(実績要件)を満たせば、既存の算定区分を超えた評価が可能になります。

③ 施設基準(実績要件)の詳細

急性期病院A一般入院料の施設基準

以下の要件をすべて(AND条件)満たすことが必要です。

要件 基準
救急搬送件数 必須 直近1年間で2,000件以上(うち夜間10%以上)
全身麻酔手術件数 必須 直近1年間で1,200件以上
救急体制 二次救急医療機関として24時間救急患者を受け入れる体制
看護配置 7対1以上(急性期一般入院料1の配置基準と同等)

急性期病院B一般入院基本料の施設基準

以下のいずれか1つを満たせばよいOR条件です。地域の実情に応じた幅広い評価を可能にしています。

パターン 要件
パターン① 救急搬送件数 1,500件/年以上
パターン② 救急搬送件数 500件/年以上 かつ 全身麻酔手術 500件/年以上
パターン③ 人口20万人以下の地域で当該圏域最大の病院 かつ 救急搬送 1,000件/年以上
パターン③は地方の中核病院を配慮した設計
人口の少ない地域では大規模な救急搬送件数・手術件数を達成するのが難しいため、「その地域で最大規模の病院」であれば件数要件を緩和するパターン③が設けられています。地方の公立病院等にとって重要な要件です。

④ 重症度・医療・看護必要度の見直し

基準値の引き上げ

急性期の実態をより正確に反映するため、基準値(達成すべき割合)が引き上げられます。現行より高い基準をクリアしなければ施設基準を維持できなくなります。

評価区分 現行 改定後
急性期病院A・B / 急性期一般入院料1
(必要度Ⅱ・割合1)
20% 27%
急性期病院A・B / 急性期一般入院料1
(必要度Ⅱ・割合2)
27% 34%
急性期病院A・B
(必要度Ⅰ・割合1)
28%
急性期病院A・B
(必要度Ⅰ・割合2)
35%

救急搬送加算の新設

令和8年改定では、重症度・医療・看護必要度の評価において救急搬送で入院した患者を加点するしくみ(救急搬送加算)が新設されました。救急搬送患者を積極的に受け入れる病院が有利になる設計です。

⚠ 経過措置:2026年9月30日まで

看護必要度の新基準値の適用には経過措置期間(令和8年9月30日まで)が設けられています。この間は旧基準値でも算定可能ですが、10月1日以降は新基準値への対応が必要です。早期に自院のデータを確認し、対応策を準備してください。

⑤ 特定集中治療室(ICU)の区分再編

従来の特定集中治療室管理料は複雑な6区分でしたが、令和8年改定で新3区分に整理・簡素化されました。

新区分 概要 主な変更点
特定集中治療室管理料1 最高水準のICU 救命救急入院料の一部統合、評価票を特定集中治療室用に統一
特定集中治療室管理料2 中規模・地域ICU へき地でなくとも遠隔ICU(tele-ICU)の支援受入が可能に
特定集中治療室管理料3 遠隔ICU連携型 同上。地方病院がICU機能を維持しやすい仕組みを拡充
💡 遠隔ICU(tele-ICU)の活用が広がる

ICU専門医が常駐できない地域の病院でも、遠隔モニタリングによる専門医サポートを受ければ管理料2・3を算定できるようになります。地方の急性期病院にとって、ICU機能維持の選択肢が広がります。

⑥ ハイケアユニット(HCU)の改定

ハイケアユニット入院医療管理料についても、実績要件の新設と点数引き上げが行われます。ICUほどではないが高密度な管理を要する患者層を適切に評価する体系が整備されました。

変更点 内容
実績要件の新設 HCUに入室する患者の重症度・医療・看護必要度に関する実績要件が新たに設定
点数の引き上げ 実績要件を満たす場合、点数が引き上げられる(上位区分への算定が可能に)
ICUとの連携 ICU退室後のHCU移行を評価する仕組みが整備され、段階的な患者管理を促進

⑦ 自院の区分を判定するフローチャート

急性期病院A・Bへの該当確認

スタート:急性期入院基本料を算定している病院

❓ 救急搬送2,000件/年以上 AND 全身麻酔手術1,200件/年以上?

いいえ ↓
急性期病院B・その他の要件を確認

はい ↓
✅ 急性期病院A(1,930点)
施設基準届出を準備

❓ 救急搬送1,500件/年以上?(パターン①)

いいえ ↓
パターン②③を確認

はい ↓
✅ 急性期病院B(1,643点)
パターン①に該当

❓ 救急搬送500件以上 AND 全身麻酔500件以上?(パターン②)
または 人口20万以下の地域で圏域最大 AND 救急搬送1,000件以上?(パターン③)

いいえ ↓
急性期病院A・Bには非該当
急性期一般入院料1〜6で対応

はい ↓
✅ 急性期病院B(1,643点)
パターン②または③に該当

⑧ 対応ロードマップ

1

自院データの確認(〜2026年4月)

直近1年間の救急搬送件数・全身麻酔手術件数を集計し、急性期病院A・Bの要件に該当するか確認する。

2

看護必要度データの試算(〜2026年5月)

新基準値(必要度Ⅱで割合1:27%・割合2:34%)に対して自院の現状値を確認する。経過措置終了(9月30日)後に基準を満たせるか試算する。

3

施設基準届出の準備(〜2026年5月18日)

急性期病院A・Bを算定する場合、6月1日施行に合わせた施設基準届出は5月18日までに提出することが推奨されています(疑義解釈より)。

4

看護必要度の新基準対応(〜2026年9月30日)

経過措置期間中に、看護師の記録方法の見直し・A項目の評価精度向上・救急搬送患者の加点運用を整備する。

5

ICU・HCUの届出見直し(2026年6月〜)

特定集中治療室の新3区分への移行届出を確認する。tele-ICU導入を検討している場合は、管理料2・3の算定要件を精査する。

⑨ よくある質問

Q急性期病院AとBは、既存の急性期一般入院料1〜6と並立して算定できますか?
A急性期病院A・Bは既存の急性期一般入院料1〜6に置き換わる(上位区分として新設される)ものではなく、要件を満たした病院が選択できる新区分です。既存の急性期一般入院料1〜6は引き続き算定できます。自院の実績要件を確認のうえ、より有利な区分を選択することができます。

Q看護必要度の経過措置期間が終わる10月1日以降、基準を満たせなかった場合はどうなりますか?
A基準値を達成できない場合、算定している入院基本料の施設基準を維持できなくなる可能性があります。その場合は、より低い区分(例:急性期一般入院料2〜3)への区分変更届が必要です。経過措置期間中に改善が見込めるか、早めにシミュレーションしてください。

Qtele-ICU(遠隔ICU)を導入すれば、ICU専門医なしでも特定集中治療室管理料2・3を算定できますか?
A遠隔ICU支援を受ける体制が整っていれば、従来よりも緩和された要件で特定集中治療室管理料2・3の算定が可能になります。ただし遠隔ICUの支援体制・契約内容・設備要件など詳細な施設基準を満たす必要があります。最新の通知・告示で要件を確認してください。

Q救急搬送件数の「直近1年間」はいつからいつまでを指しますか?
A施設基準届出時点での直近1年間(12か月)の実績を使用します。2026年6月の届出であれば、概ね2025年6月〜2026年5月の実績が対象になります。正確な取り扱いは厚生労働省の告示・通知でご確認ください。

Q急性期病院Bの「人口20万人以下の地域」はどのように判定しますか?
A二次医療圏の人口を基準として判定されます。自院が所在する二次医療圏の人口(最新の国勢調査等)が20万人以下であることと、圏域内で最大の病院規模(病床数等)であることが要件となります。具体的な判定基準は厚生労働省通知で確認してください。

⑩ まとめチェックリスト

直近1年間の救急搬送件数・全身麻酔手術件数を集計し、急性期病院A・Bの該当可否を確認した
急性期病院A・Bの施設基準届出を2026年5月18日までに提出する準備を進めた
重症度・医療・看護必要度の新基準値(必要度Ⅱで割合1:27%・割合2:34%)に対して自院の現状値を確認した
看護必要度の経過措置終了(2026年9月30日)後の対応計画を策定した
特定集中治療室の新3区分への移行について、自院の届出区分を確認した
ハイケアユニットの新実績要件に自院が対応できるか確認した
tele-ICU導入の検討が必要か、管理料2・3の算定要件と照らし合わせた

【免責事項】
本記事は2026年4月時点の厚生労働省資料および公表情報をもとに作成しています。診療報酬の算定ルールは告示・通知の内容が最終的な根拠となります。施設基準の届出・算定にあたっては必ず最新の厚生労働省通知・保険請求の手引きをご確認ください。本記事の情報を利用したことによるいかなる損害についても責任を負いかねます。

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