【2026年診療報酬改定】物価対応料とは?
外来・入院・食費改定を医療機関向けにわかりやすく解説
届出不要で全医療機関が算定可能!外来初診・再診に2点、入院は病棟別点数で令和9年6月には2倍に増額予定
「光熱費や食材費が上がって経営が苦しい…」「物価対応料って何?うちのクリニックは算定できるの?」令和8年(2026年)度診療報酬改定では、こうした医療機関の悲鳴に応えるかたちで「物価対応料」が新設されました。
物価対応料は届出不要・全保険医療機関が自動的に算定できるのが最大のポイントです。外来では初診・再診のたびに2点ずつ上乗せされ、入院では病棟種別に応じた点数が1日につき算定されます。さらに入院時食費・光熱水費の基準額も引き上げられます。
この記事では「うちは対象になる?」「どれくらいの増収になる?」「令和9年度はどう変わる?」の3点をわかりやすく解説します。
📋 この記事でわかること
① なぜ物価対応料が新設されたのか
診療報酬の点数は原則として「人件費」「物件費」「設備費」に対応した水準に設定されています。しかし近年の急激な物価上昇により、医療機関が実際に支出する光熱費・食材料費・医療材料費・その他物品費が大幅に増加しました。
令和8年度改定では診療報酬本体を+3.09%(2026年度・27年度平均)と30年ぶりの高水準で引き上げましたが、その内訳のうち物価対応分だけで+0.76%を占めています。
| 改定率の内訳(本体+3.09%) | 内容 |
|---|---|
| 賃上げ対応分 | +1.70%(ベースアップ評価料の拡充など) |
| 物価対応分 | +0.76%(物価対応料の新設・食費改定など) |
| その他(機能強化・効率化) | +0.63% |
物価対応料は令和8年度と令和9年度の2年間で段階的に引き上げる設計です。令和9年6月以降は全点数が2倍になります。これは物価上昇の継続を見越した経過措置的な措置です。
② 外来・在宅物価対応料の点数と算定方法
点数一覧
| 算定場面 | 令和8年6月〜令和9年5月 | 令和9年6月以降 |
|---|---|---|
| 初診時(外来) | 2点 | 4点 |
| 再診時・短期滞在手術等(外来) | 2点 | 4点 |
| 訪問診療時(在宅) | 3点 | 6点 |
算定のルール
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 届出 | 不要 全保険医療機関が自動的に算定可能 |
| 対象患者 | 入院中の患者以外(外来患者・在宅患者) |
| 算定回数 | 1日1回(初診・再診それぞれ1日1回) |
| 施行日 | 令和8年(2026年)6月1日~ |
| 基本診療料との関係 | 初診料・再診料に上乗せして別途算定(本体点数には含まれない) |
初診料は291点のまま据え置きです。再診料は75点から76点(1点増)に引き上げられました。物価対応料2点はこれとは別途加算されるため、実質的に再診時は合計で3点分の引き上げとなります。
③ 入院物価対応料の点数一覧(病棟別)
入院患者に対しては、病棟の種別ごとに異なる点数が1日につき算定されます。急性期機能が高い病棟ほど点数が高く設定されています。
| 病棟・入院基本料の種別 | 令和8年6月〜 令和9年5月(1日) |
令和9年6月以降 (2倍) |
|---|---|---|
| 急性期病院A一般入院料 | 66点 | 132点 |
| 急性期病院B一般入院基本料・急性期一般入院料1 | 58点 | 116点 |
| 地域包括医療病棟入院料1 | 49点 | 98点 |
| 地域一般入院料1・2 | 32点 | 64点 |
| 地域包括ケア病棟入院料1(40日以内) | 27点 | 54点 |
| 回復期リハビリテーション病棟入院料1 | 19点 | 38点 |
| 療養病棟入院料1 | 18点 | 36点 |
有床診療所も入院物価対応料の算定対象です。病院だけでなく、入院病床を持つ診療所も忘れずに確認してください。
④ 入院時食費・光熱水費の改定
入院患者の食費・光熱水費の基準額も物価高騰を反映して引き上げられます。
| 項目 | 現行(改定前) | 改定後(2026年6月〜) | 増加額 |
|---|---|---|---|
| 入院時食費(1食あたり) | 690円 | 730円 | +40円 |
| 光熱水費(1日あたり) | 398円 | 458円 | +60円 |
食費・光熱水費の引き上げは、患者が窓口で支払う標準負担額(自己負担分)も増加することを意味します。患者への丁寧な説明と院内掲示の更新が必要です。
⑤ 物価対応料の算定対象か判定するフローチャート
外来・在宅編
入院物価対応料の対象をご確認ください
初診・再診:2点 / 訪問診療:3点(届出不要)
入院編
個別に確認が必要です
届出不要・1日につき病棟別の点数を算定
⑥ 増収シミュレーション
外来クリニック(診療所)の例
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 1日の再診患者数 | 50人 |
| 物価対応料(再診) | 2点 × 10円 = 20円/人 |
| 1日の増収額(目安) | 50人 × 20円 = 1,000円 |
| 年間の増収額(目安) | 1,000円 × 250日 = 約25万円 |
| 令和9年6月以降(2倍) | 再診4点(40円/人)→ 年間約50万円増収 |
急性期病院(急性期一般入院料1)の例
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 平均在院患者数 | 200人/日 |
| 入院物価対応料 | 58点 × 10円 = 580円/人/日 |
| 1日の増収額(目安) | 200人 × 580円 = 116,000円 |
| 月間の増収額(目安) | 116,000円 × 30日 = 約348万円 |
| 令和9年6月以降(2倍) | 116点(1,160円/人/日)→ 月間約696万円増収 |
上記は概算です。実際の増収額は診療報酬の単価(10円/点)に基づき計算してください。保険種別(社保・国保等)による差異や患者負担割合によって実際の収入は異なります。
⑦ 注意事項・よくある間違い
令和8年度診療報酬改定の本体施行日は2026年(令和8年)6月1日です。薬価改定(2026年4月1日)と日程が異なるため、混同しないよう注意してください。物価対応料の算定も6月1日からです。
入院時食費・光熱水費の基準額引き上げに伴い、院内掲示の患者負担額も更新が必要です。6月1日以降も旧掲示のままだと患者への説明が不正確になります。改定前に院内掲示・入院案内書類を確認してください。
物価対応料が自動的にレセプトに反映されるか、レセコン・電子カルテのベンダーに確認してください。届出不要でも、システム側で算定設定が必要な場合があります。改定施行前(5月中)に動作確認を済ませましょう。
物価対応料は令和8年度・令和9年度の2段階引き上げです。令和9年6月以降は全点数が2倍になりますが、レセコン更新が必要な可能性があります。令和9年5月末に再度確認するリマインダーを設定しておきましょう。
⑧ よくある質問
⑨ まとめチェックリスト
本記事は2026年4月時点の厚生労働省資料および公表情報をもとに作成しています。診療報酬の算定ルールは告示・通知の内容が最終的な根拠となります。算定にあたっては必ず最新の厚生労働省通知・保険請求の手引きをご確認ください。本記事の情報を利用したことによるいかなる損害についても責任を負いかねます。

コメント